亀の甲羅が、あばら骨が変形して板状になり、体の表面に筋肉を押しのけて出てきたものであることが、理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター(形態進化研究グループ)の研究で明らかになった。
表面の五角形や六角形の幾何学模様は鱗(ウロコ)で、そのすぐ下には「あばら骨同士がくっついて板状になった甲羅」がある。
亀は、約2億5700万年前に鳥類などと別れて進化したが、その後の進化過程は謎に包まれていたため、19世紀から甲羅がどのような初期進化を経て今の形になったのかについて動物学者の間で議論されてきた。
「体の表面でできた殻があばら骨と一体化して板状になった」のか・・・。
「あばら骨が単独で変形してできた」のか・・・。
研究グループは、この謎を解くべく、胚(卵)を観察し育っていく経過で、甲羅の作られ方を調べた。
すると、あばら骨同士がすき間を埋めるように伸びていく様子が、皮膚の下にある組織で確認できた。
殻と一体化する前に、あばら骨だけが板状構造をつくっていることがわかったのだ。
アルマジロ(哺乳類)は、同じ甲羅でも、変形していないあばら骨と背骨の上に、ドーム状の鎧のようなモノが乗っている。
これは体の表面で作られたモノで、進化的には魚の鱗と同じモノらしい。
【カメとアルマジロの骨格比較画像】
また、三畳紀の化石記録の調査をしたところ、亀と系統的に近い「三畳紀の海生爬虫類(シノサウロスファルギス)」が皮膚の下に肋骨が拡張して作られた亀型の背甲を持っていたことがわかった。
亀が現存の脊椎動物で唯一、「進化過程であばら骨の形を変化させて背中の甲羅を獲得した」ということを突き止めたのだ。
亀の甲羅の正体を解明した理研チームは、9日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズで発表した。
これからは「どうして亀の肋骨は背中側だけに広がって、それを覆う筋肉が形成されないのか」の進化過程の解明を課題に研究をすすめるという。
【おまけ:ひっくり返ったカメを助けるカメ(動画)】
カメ、かわいいよ。カメ。