爆発物とは主に火薬(爆薬)と、雷管(雷管用火薬・一次爆発物とも言
う)とに分けられます。
一般的に、「爆薬」の部分のみでは爆発は起こらない様にされています。
この爆薬に、導火線や衝撃を与えても、爆発点温度まで達しない為、爆
発は起こりにくいのですが、もう一方の、雷管(雷管用火薬)は、「軽
い衝撃や低温でも、小爆発を起こし、一気に高温になるという性質です。
この雷管と、爆薬を同じ場所にセットするか、または混合する事で、は
じめて「衝撃または低温発火→雷管の小爆発→高温→爆薬の爆発点温度
を超える→爆薬が爆発→大爆発」という順序で爆発が起こります。
逆に言いかえるならば、完成した爆弾を安全なものにする(解除する)
には、雷管を抜き取れば良い、という事になります。(地雷や戦争中の
不発弾が見つかった時、良く耳にする、「軍による雷管を取り外す作業
が行なわれている為、避難を・・・」というのは、雷管を取り外し、扱
い易くする為の、この行程の事です。)
つまり、火薬には「雷管に適した火薬」と、爆発部分の「爆薬に適した
火薬」が存在するという事になります。
ニトロ化合物の製造と製造時の注意について
ニトロ(nitro) ニトロ基すなわち -NO2基です。
ニトロ化合物とは、ニトロ基が炭素原子に直接結合している有機化合物
の総称で、ニトロ-ベンゼンの類です。
厳密には、ニトロ-グリセリンとニトロ-セルロースは、ニトロ化合物
ではなく、"硝酸エステル"ですが、ここでは簡易に、どちらもニトロ化
合物、としました。
ニトロ化(nitration)とは、有機化合物の炭素原子についた水素原子を
ニトロ基で置換する反応。芳香族化合物のニトロ化には硝酸、発煙硝酸
または混酸を用います。狭義には、C-NO2をつくる反応をさします。
種類
1.ニトログリセリン [nitroglycerine]分子式 C3H5(NO3)3
グリセリンと硝酸及び硫酸の混合物との反応により生ずる三硝酸エステ
ルです。無色油状の液体で強力な爆発物です。狭心症の特効薬として、
ごく微量で強心剤にも使われます。微かにでも刺激を与えると爆発しま
す。冷却固化している時の方が危険です。
ダイナマイトの原料
CH2ONO2
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HCONO2
|
CH2ONO2
2.トリ-ニトロ-トルエン(TNT火薬)
トルエンをニトロ化して得る強力な爆薬です。(トリ,-~とは"3"の事。
この場合、1つのトルエンに対し硝酸基が3つ、という意味。モノ,-~は
"1"、 ジ,-~は"2"を表す。)
NO2
/
/ ̄ ̄ ̄\
/  ̄ ̄ \
NO2 __ / \ __CH3
\ \ / /
\ \ / /
\___/
\
NO2
3.ニトロベンゼン-[nitrobenzene]分子式 C6H5NO2
ベンゼンを混酸(硝酸と硫酸の混液)と共に温めるとき生ずる淡黄色の
油状液体です。苦扁桃(くへんとう)油に似た芳香を持つ、有毒物質で、
水にほとんど溶けません。アニリン原料に用います。別称ニトロベンゾ
ールといい、性質:無色(普通は淡黄色)の香気ある液体です。沸点は
210.9℃です。
NO2
\
/ ̄ ̄ ̄\
/  ̄ ̄ ̄ \
/ \
\ \ / /
\ \ / /
\___/
4.ニトロセルロース-[nitrocellulose]
セルロース(脱脂綿)の硝酸エステルで、硝酸セルロースです。
セルロースを硫酸・硝酸・水の混合液で処理して作ります。混合液の組
成によって、エステル化の程度(窒素の含有率で表わし、硝化度といい
ます。) の異なるものを得ます。硝化度の高いものは火薬、硝化度の低
いものはラッカー・フィルムなどとして使用します。硝酸繊維素、硝化
綿とも呼ばれます。
5.ニトロメタン- 分子式 CH3NO2
もっとも簡単なニトロパラフィンです。
製法は、低級パラフィンを気相ニトロ化して分留するという方法です。
無色の液体で、沸点は101.3℃です。溶剤、催涙ガス"クロロピクリン"の
重要な原料です。
6.四硝酸エリトリチル-ニトロ基が4つある化合物です。
CH2ONO2
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CH2ONO2
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CH2ONO2
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CH2ONO2
7.六硝酸マンニトール-ニトロ基が6つある化合物です。
CH2(ONO2)
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O2 N OCH
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O2 N OCH
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CHO(NO2)
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CHO(NO2)
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CH2(ONO2)
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ニトログリセリン製造工程・・・(非公開)
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2004/7/7 配信