杏奈の潜入日記 ディープ・シロート:完全個室

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2013/12/24 09:55
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あのさ高校生じゃないよね?と聞かれて残念ながら卒業してますよ、
と返すと少し残念だけど、と笑った。
じゃあ安心して遊べる、そう言って笑った。
遊ぶって。そうだよね。遊ぶのでするんだよね。
こういうのも「遊び」なのか。色々考え込みそうになってやめた。

もう8時だけど、ご飯は?
まだだけど、あんまり空いてない。
じゃあ少し食べようか。
相談の話があるって言ったのに。言い出しにくくて、
言われるがまま男の少し後をついていく。
この間より少し高そうで薄暗い居酒屋。
入口の「完全個室」という文字がやけに主張してくる。
あのさぁ、いくら個室でも何もしないよ、と呆れてまた笑われた。

照明が暗くてよかった。そう言われる程にガチガチな自分が
見透かされたのが恥ずかしくてたまらなかった。


「先週はありがとうございました。
相談したいことがあるんですがいいですか?いきなりでごめんなさい。」
木炭で汚れた指先が汗ばんでスマホの画面が汚れた。

「ごめんね、返信遅くなって。どうしたの?」
どうしたの?と言われても困る。
会って、お話できませんか?と返すしかなかった。
いいよ、いつにする?その前に少し電話してもいい?
電話で話してグラつく気持ちを察せられるのが嫌だった。
今日とか、だめですか?と送った。
いいよ、遅くなっちゃうけどいいの?
実家じゃないから、大丈夫。
じゃあ、と池袋で会うことにした。電話では話さなかった。

最初に会ったとき、ろくに顔も見なかったから、
待ち合わせ場所で突然声をかけられて「あれ?この人だっけ?」
と訝しむような顔をしたら笑われた。
こういうの、慣れてないでしょ。と。

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