■奈良女児監禁:トイレに容疑者指紋 駐車場で待ち伏せか
奈良県香芝市の商業施設で同市立小6年の女児(11)がトイレに行った後に行方不明になった事件で、5日夜に女児をミニバンに乗せているところを監禁容疑で現行犯逮捕された同県橿原市南八木町1、無職、伊藤優(まさる)容疑者(26)の指紋が、施設のトイレ内から検出されたことが6日、捜査関係者への取材で分かった。トイレ前の駐車場で伊藤容疑者のミニバンに似た車が目撃されていたことも判明。県警は幼い女の子がトイレに入るのを待ち伏せして拉致したとの見方を強めている。
女児は4日午後1時50分ごろ、香芝市高のリサイクルショップ「開放倉庫香芝店」南館の南西にあるトイレに1人で行った後、行方不明になった。トイレは南館の外側からしか入れない構造で人目に付きにくい一方、トイレ入り口は南館の駐車場に面している。
捜査関係者によると、伊藤容疑者の指紋が見つかったのは女子トイレの室内という。このトイレには女児のサンダルのうち右だけが残されていた。また、女児が保護された際、後ろ手に両手首を縛っていたプラスチック製の結束バンドを、伊藤容疑者が事前に用意していた疑いもあるという。
調べに対し、伊藤容疑者は女児とは面識がないと説明し、「車で連れ去った」と供述。県警は同じような年齢の女の子がトイレに入るのを駐車場で待ち伏せし、女児が偶然にトイレに入ったタイミングを見計らって計画的に連れ去った疑いが強いとみて調べている。
女児の家族は6日、「一夜明け、家族とともに、その無事を喜ぶ中、思いがけない出来事に遭遇したことで心を痛めている。元の生活に戻るまでしばらく時間がかかると思うが、そっと見守っていただけるとありがたい」などとするコメントを、県警を通じて発表した。
◇定時制高を卒業後、アルバイト転々
奈良県警などによると、伊藤優容疑者(26)は県内の定時制高校を卒業後、郵便局や施設でアルバイトをするなどしていたが、仕事は長続きしなかった。約2年前から同県橿原市のアパートで1人暮らしをしており、家主によると、家賃はきちんと支払っていたという。
約3年前までアルバイトをしていた橿原市のデイサービス施設の男性主任(30)は「まじめな印象で、仕事を覚えようと頑張っていた。入所者やスタッフとのトラブルもなかったが、無断欠勤をするようになり3カ月で辞めてしまった」と振り返る。
以前に家族と住んでいた同県大和高田市のアパートの住人女性(44)は「普通のおとなしい人。家を出てからも母親の様子を見に来て、買い物袋を持ってあげたりしていた。母親思いで、こんなことするようには思えない」と首をかしげた。