私が以前、受刑生活を送っていた刑務所は、全国にある刑務所の中でも数少ない長期刑務所でした。その刑務所では当時700人ほどいる受刑者のうち4割は無期刑、残りが有期刑（刑期30年未満）という状態。罪名としては殺人および殺人未遂が6割、強盗と強姦が1～2割、その他は放火・詐欺・恐喝などといったところです。珍しいところではオンライン上で金銭をだまし取った電子計算機使用詐欺罪で服役しているという人もいました。

いずれも世間を騒がせた大きな事件を起こした犯人ばかりなので、事件の詳細についてはよほど親しくならない限り語りたがらないことが多かったです。それでもさすがに全国ニュースで取り上げられた事件の犯人がしばらくして受刑者として入所してきたときなどはすぐに噂が飛び交っていました。そして毎日回覧される新聞を見ていると「ああこの人は裁判が終わったからもうすぐここに来るな」というのがわかってきます（長期刑の場合、裁判を受けた地域によってある程度決まっています）。