ニューヨークのピアノバーには様々なカテゴリーがあり、誰でも自由に出入りできるショットバー感覚のお店から、超高級会員制の秘密クラブまで枚挙にいとまがありません。
私が頻繁に出入りしていた5~6年前では客のほとんどが日本人であったと思います。今ではなくなってしまったのですが、金髪ハーフ嬢と知り合ったお店は個室形式になっていて、一応名の知れているファンドマネージャーの私としては、ほかの客と顔を合わせないことがメリットでした。
個室なので当然、担当の嬢とは親密になります。私は、確か2か月ほど通い詰めたあたりで嬢と男女の関係になったと記憶しています。
嬢の美しさや女性としての卓越した能力(還暦間近の私の男性機能を極限まで引き出すテクニック)に惚れこんでしまったのです。嬢も努力しているようですが、そもそも兼ね備えられているものが段違い。シルクのように吸い付く白い肌や、触れられた瞬間に電気が走るような程よい冷たさの指。そしてその指がわずかに触れることで、意識していなくてもフル勃起してしまいます。
若く美しいその肢体と溢れるような瑞々しさ、透き通るような瞳と白い肌、清楚な顔立ちと可憐な振る舞い……。一方で男を知り尽くしたような微妙な舌遣いや手指の動き、どんなに疲れていて気分が乗らないときでも気がつけば嬢を狂おしく抱きしめ情念を迸らせる自分がそこにいるのです。
一度冗談で「誰からそのテクニックを教わったのか」と聞いてみたところ、嬢ははにかんで「あなたへの愛情がそうさせているだけよ」と切り返してきました。私はそのような最高レベルの女を意のままにできる、それほど力のある男なのだ、と勘違いしたものです。
今から考えると、実力以上の先物のオーバーポジションを取りながら、その果実を得られたのは嬢が与えてくれた勇気であったのか、嬢の快楽がもたらす感覚の麻痺であったのか、わかりません。
こんな記憶が清々しく夢に出てくるようになりました。