1滴の血液からクローンマウスを作り出すことに成功
理化学研究所が、マウスから採取した血液1滴からクローンのマウスを誕生させることに成功した。
従来の技術では、ドナーの細胞を外科的手術によって臓器から採取することから、個体を犠牲にせざるをえなかった。
この度、研究グループは、ドナー動物に負担の少ない血液を用いて、新たなクローン技術を開発したのだ。
その新技術は、まず、マウスから採取した1滴の血液内にある非リンパ球の白血球を分離させる。
そして、これをドナー細胞として使用するというもの。
この方法でクローンマウスを誕生させた。
従来法では困難だった「生きたまま」、クローンを作り出すことができたのだ。
白血球には、2種類の白血球がある。
非リンパ球のものとリンパ球のもの。
クローン技術において、リンパ球のDNAは再構成されているため、適していない。
そこで研究チームは、直径8 μm(マイクロメートル)以上の細胞を顕微鏡下で選んだ。
非リンパ球を分離させたのだ。
約85%の正確さで分離させることが可能だったという。
【微量血液から採取した白血球からの体細胞クローンマウスの作出方法】
【非リンパ球から作出したメスの体細胞クローンマウス】
また、今回の1滴の血液からのクローン技術は、従来法とほとんど変わらない産仔獲得効率であることもわかった。
さらに、メスの体細胞クローンマウスは、雄と生後8週齢で交配したところ正常な繁殖能力を示し、野生型と変わらない寿命であることも分かった。
この技術は、絶滅が危惧されている動物を増やしたり、畜産分野への応用も期待されている。