オウムの菊地直子。
走る爆弾娘の異名を持ち、オウム事件後長期間逃亡していた元信者。
私と彼女は薄い接点があった。まず同じ年。実家が近所、そして
ほんの一瞬だが通っていた受験塾が一緒だったのだ。
彼女はとても優秀で倍率10倍以上の大阪教育大学附属天王寺中学校に
見事合格し、私はその学校の滑り止めにすらならない私立中学校を受験し
落ちるくらいだからまあ接点はほぼなかったと言ってもいいくらいなのだが
わりに可愛いイメージだった事を覚えている。
彼女は禁欲的なオウムの中でも元幹部と恋愛関係に陥ったり
事件後一緒に逃亡していた平田信の事を好きだったり
(レイプまがいとはいえ)高橋とセックスしたりとかなり自由だったようだ。
性欲が強い方だったのだろうと思う。
その性欲の強さは逃亡を長引かせたことと無縁ではあるまい。
23歳から17年にわたる逃亡生活。女として一番いい時期を
己の性欲と男性信者、そして信仰だけで過ごす。
「逃げる為には性欲を利用してもいいんだという考えに走ることになり、
Mも私も性欲とたたかおうとしなかっただろうから、
そこで二人の関係が成立してしまい、(中略)性欲の捨断ができない」
逃亡日記に書かれた一文があったという。
現在43歳、長すぎる禁欲生活に入るあの優等生は、獄の中で何を思うのか。